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好き勝手に吐き出した感想を置く場所

スチームプリズン -七つの美徳-

エルトクリード→イネス→ウルリク→アダージュ→ユネ→フィン
※かなりネタバレ含みます

LIKE:キャラ同士の関係・会話全般


◇エルトクリード
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最初はキルスの言動がいかにも取って付けたような『勇ましいお嬢様』であまり好きになれなかった。でも下界に落ちたあたりから慣れて、キルスに対する印象も変わりました。
エルトクリードは予想外にいい人、裏表がなかった。冷血な面はあるけど裏も表もない。ウルリクとのやり取りが本当にめんどくさいけどいい人。CVもはまり役だった。
CVといえばユネの声がインパクトがあった。初登場時の最初の一言だけでユネってどんなキャラなんだとグッと引き寄せられました。
アダージュのエルトクリードに対する容赦ない台詞が気持ちよかった。この世界の医者はみんな容赦ないんでしょうか。

ストーリーに関しては、決闘→上界行きをやめるルートをクリアした直後はいまいち物足りず。細かい部分まで設定されているようで大雑把に感じた。でもキャラとストーリー自体は面白かったし、2周目で上界行きルートを見たら1周目で感じた物足りなさも消えました。
上界行きルートはBADへの分岐が罠を乗り越えた先にさらに罠がある感じ。ユネ様が本当に聖人だし、フィンはどうにもならないけどエルトの母についても明かされる。ユネ自ら下界の視察に来たり、下界と上界の関係が変わっていくんじゃないかなという終わり方がよかった。
とか思ってたけど、イネスをクリアした後に振り返るとHOUNDSと共闘展開の方も感慨深い。
そしてこのルートでは両親殺しの犯人は謎のまま、キルスの婚約が取り消された件も分からず。
ザクセンが言った「あの男」はバイスのことなんですかね。
エルトクリードを呼んだ理由も暇潰しの娯楽として下界の奴を血祭りにあげたかっただけだし、冤罪でもなんでも捏造して罪人の仕立て上げるとか上界の上層部がブラックすぎる。
上界から下界に落とされて、今まで教えられてきたこと・当たり前だと思っていたことが嘘だったと知ったら、その真実に驚くと同時にそれまで信じていた社会や秩序、価値観が揺さぶられて上界に対して不信感を抱いてもおかしくないけど、イネスやザクセンすらそんな感じはあまり受けないし、キルスは『上界』のことは変わらず信じてるんですよね。
冤罪ではめられたのに上界のシステムに疑いを持たないのが不思議でした。
宝石も偽物、罪人も偽物なら上界の本物とは?

フィンは1周目時点では闇落ちした状態で再会して、むなしいはむなしいけどいまいち釈然としないまま終わった。
2周目では猟犬になる過程が明かされた。
過程を知っても闇落ち後のフィンは狂ってるの一言だけど、五人組みたいな理由で下界に落とされて、初っ端からザクセンに目を付けられ半殺しにされ、治療を担当する医者も狂ってて人間として扱われず、描かれる話がどこまでも理不尽かつ不条理でまるでキルスと表裏一体。裏主人公みたいだなと思いました。



◇イネス
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保護地区にとどまる受刑ルート。
エルトクリードの庇護下=衣食住に困らない生活だった下界ルートとは打って変わり、ルート序盤はその日の食べ物をどうするかという状況を何度も認識させられる。アリエス親子が早々に殺されたり一食も食べずに職探しを続けたり、なんか序盤の展開が一番きつかった気がする。で、ある日イネスから教師になってくれと頼まれて、そこから二人は親しくなっていく。エルトルートと比べたら恋愛感情を自覚するのがめちゃくちゃ早いし、キルスが普通に恋してるヒロインだった。恋愛感情を早々に自覚すること自体が衝撃的。
とはいえイネスもキルスも堅物だから後日談の勘違いとか鈍い面もあり。
大体の謎が明かされたゆえに恋愛面よりもそちらの方にあーー!となりました。
キルスの両親を殺した犯人は予想通りだったけどキャラの自己紹介にある小話が……闇としか言いようがない。この盲信はどこから来てるんだろう。
グリッサードは裏の顔はすでに垣間見えてた&コルドアは見るからに裏がありそうでしたが全部繋がっていた。
今回も終盤はユネ様大活躍。
真実が明らかになって犯人が罪を認めたとしてもユネ様がいないと二人とも消されていた。
ぶっちゃけくっついた二人を見てフィンがどう思ってるのかが怖い。

イネスは難しい。悪い人じゃないどころか物凄くいい人だけど、それがイネスにとっては最善の選択だったとしても、 HOUNDSとしてやってきたことを考えたら常軌を逸してる。薬と食事のことも知っててやってるし上のやり方を肯定してる。
ザクセンが粛清の果てに今の体制を築き上げたのは分かったけど、モブ隊員の台詞でスィア殺害を疑う声があったり、当時のザクセンが組織の中で疑われやすいキャラだったなら尚更なんでザクセンを止めなかったor誰も反抗しなかったのか?ザクセンは2年前のあの時点ではたぶん剣の腕もHOUNDS最弱クラスだし体力もないし、あの場では一時的に恐怖で支配出来たとしてもそんなに上手く権力が掌握出来るのかなと。

ザクセンとイネスの関係も戦友と言っていいのか。
仲間意識があるのは分かるし、イネスがザクセンのことを「ザクス」と呼ぶのも、結局ザクセンの理解者になってしまったのも分かる。でもスィアに置いていかれた者同士の傷の舐め合い/なれ合いにしか見えなかった。
ザクセンは絶対に認めないだろうけど、二人にとってスィアは上官とかリーダーとかそんな言葉では表せない光だったんじゃないかと思います。HOUNDSとして生きるうえでの支柱だった。でも、大切な存在を失ったからといって恐怖政治に走るのはまっとうじゃない。ザクセンが自分の失態がスィアの死を招いたんだと受け止めることが出来ていたらこんなことにはならかった。

ザクセンはイネスが他の隊員と同様に猟犬だから、ではなく、イネスだから信じてたんだろうなと思えたのが、BADでイネスにキルスの死を突きつけたところ。描かれてないだけであの後フィンにしたようなことをしたのかもしれないし、死を突きつけることも再教育の一環なのかなと思ったけど、イネスの『裏切り』に対して本当に失望してる。
ザクセンにとってはスィアもイネスも忌々しい過去であり殺したくない過去なのかなと思った。
2年前のザクセンは可愛げがあるしヘタレだし人間臭い。
今の自分を見られたらスィアから否定される。
そう思ってるからザクセンはスィアを思い出したくないし、スィアを想起させる存在を自分の周りから消したい。
キルスとフィンはスィアと2年前の自分を見ているようで忌々しかったのかなと思いました。



◇ウルリク
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最初に見たのがエルトBAD回収で片翼EDだったので、印象はマイナスからのスタートでした。
フェリエは現在の世界の成立に深く関わり、特に下界の復興と発展の立役者といってもいい一族だけど影の存在。歴史の表舞台に立つわけにはいかない。その功績が大々的に刻まれることはなく、バーレンティンのような富と名声も得られない。
本当は世界を揺るがす鍵を握っているのに誰にも認められない、認められるわけにはいかないというジレンマに支配された人生。
だから内心では馬鹿にしながらも、フェリエを認めて「始祖様」と慕ってくれるラファールの存在が嬉しかった。馬鹿な連中だと思いながらもそう簡単に付き合いをやめられない。
GOODでは「僕にはどうでもいいし」な逃げのスタンスじゃない。
積極的に協力して装置起動→偶然だけど書庫にやって来たバイスを騙し討ちなBADは徹底して破滅的で逆に気持ちよかった。

400年の間野望を持った人間がひとりもいなかったのか、これだけの知識と技術があるなら表舞台に出ようと思わなかったのかという根本的な疑問は感じました。
バーレンティンは書庫の存在は知らなかったけど鍵は代々受け継いでた。でもフェリエが暴走した状況を想定して作った鍵なのに、機械がどこにあるかは自力で見つけてね!は安全装置としてはどうなんだろう。しらみつぶしに探せば見つけられるのかもしれないけど。
「僕はすぐにエルトエルトと言い出す。世界の中心がエルトみたいな考え方はやめないと」的なことをウルリクが言ってて面白かったです。
ウルリクとエルトクリードの関係は友達兼家族、でも踏み込まないところは踏み込まない。
ウルリクはエルトクリードに対して負の感情がないとは言い切れない。でも「エルトにだけは知られたくない」の切実さが、何があってもエルトクリードとの関係だけは壊したくないんだなと感じました。あと、エルトクリードにはどんな状況であってもエルトであって欲しいのかなと。



◇アダージュ
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偽装結婚とか「とんでもなく、エロいことだ」→猥褻は知ってるのか~とか、二人の距離が縮まる過程が可愛かった&萌えた。終盤はほぼグリッサードを追っかけてる気分になりました。
グリッサードがキルスを狙った理由は、抗体がなく誰にでも輸血OKな黄金の血だから。
アダージュはフィッツジェラルドと同じく父親に対して従順。途中までは何でそこまで縛られてるんだ?何で復讐じゃなくて「救いたい」なの?と思いました。最大の動機が母から「救って」と頼まれたからだと分かってからはいくらか納得出来たけど、医者になったのも(患者から望まれたとはいえ)殺人を犯してまで下界に来たのも全て父を救う為だったって…おまけに最後まで微塵も分かり合えない。
グリッサードにとって妻子はプリシラとの仲を引き裂いた『障害』であり、『障害』の子である息子は『劣性』でしかない。最後の最後で下手に肉親の情を持ち出されるよりはいいけど、最初から最後まで見事に分かり合えない。アダージュはグリッサードと話そうとしてるけど、グリッサードはアダージュのことを自分と同じ人間だとは思ってない。最初から話す気もない。壁に向かって話してるより酷い。
あることをきっかけに激変したザクセンやフィンと違って、グリッサードは最初から壊れてたんじゃないかな~。結婚を機に狂い始めたのかもしれないけど、本当は舞台女優に片思いしてただけで面識すらなかったんじゃないかなと思ってしまいました…まぁ、同じような怖さはフィンにも感じるけど…ユネルートで最終的にキルスの秘書になるフィンはちょっとやばそうな気がする。グリッサードほどぶっ壊れてないから大丈夫だとは思うけど。

アダージュがプリシラを見て「昔会った時もこうだったのか」と思う場面、上界では一応研究所内で胎児をもとに造ったものだし、パーツを継ぎ接ぎしただけの文字通り『人形』とは違うんじゃないかな~。
アダージュとグリッサードは「命を救いたい」という思いがあるか否かで決定的に違う。グリッサードの出発点は「自分の理想の恋人を創り出すこと」で、そもそもプリシラの命以外はどうでもいい。医者や研究者として生命という存在に興味があるわけじゃないし、妻の死に対する後悔も自分の無能さに対してだけであって妻自体には無感情。対して、アダージュには「救いたい」という感情がある。確かに父の存在がなかったら医者にはならなかったかもしれないけど、最初からアダージュはアダージュで父親とは根本的に違う存在なのに、本人はそのことに気付かず父の存在に縛られていた。
イネスがキルスを見守るBADが切なかった萌えた。今後二人の関係が発展しそうな気配もありつつ悲劇のにおいを漂わせる終わり方だった。



◇ユネ
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ユネは神の石に愛されたから不老不死になった。
周辺のガラスも全部割れたり腕ごと吹き飛んだり、文字通り『排除される』で驚きました。
ウォーナーのユネに対する愛着と尊敬は本物に見えた。
下界GOOD EDは何も解決してないような。
ユネ追放でウォーナー復権なら上界の腐敗は一層酷くなりそうだしキルスは濡れ衣を負ったまま。グリッサードも安定の胸糞悪さでエルトクリードがいなかったらBAD一択じゃねーのこれ。人としての幸せは手に入れたけどうーーーん。下界行き→無一文で衣食住の危機→エルトクリードが支援するというパターンに、なんか…こう…やはりお金か、お金だよな…と思いました。

たぶんBAD扱いだけど、生涯独身を貫いたキルスが亡くなり、息を引き取る前に駆けつけたかったけど間に合わなかったユネがティステラ邸にて眠るキルスに語りかけるEDが希望があるけど悲しいのと切ないのとでじーんときました。
ユネ亡き後キルスが議員になるEDもよかった。おまけまで見るとフィンが不穏なことになりそうで一抹の闇。

フィンといえば、たぶんこのルートが本編における決着なんでしょうが最後の最後でザクセンがなああああああ。
キルス&ユネと再会したことがどう影響するのかと思ったら、グリッサードの命令に背く→殺害→ユネとキルスとウルリクを助ける。
HOUNDSの宿舎で再会した時のセリフから、フィンは猟犬と化した自分はもう元の場所には戻れないと思っていて、罪に対する償い、あるいは罰としてフィン・ユークレースではなく猟犬として死ぬ気なんじゃないかと思ったので、フィンにとって『希望』だったユネとキルスを助けることはまさに最後の希望であり残された救済なのかなと感じました。

で も ザ ク セ ン が 。

ザクセンとの決着は見たかったし、フィンがザクセンを殺す展開は予想していたけど殺されかける→マウントポジションに立つ→そこで煙草の存在を思い出してザクセンの胸元を探る→見つけた時の態度と、煙草を吸った後の差が。
ザクセンがクソ外道で救いがないのは今さらだけど、フィンから感じる妄執がなんか救いがなさすぎて、フィンもそこまで堕ちたんだと強調されて終わった。フィンが囚われた闇から一瞬でも解放されるんじゃないかな〜最後の最後は救いがあるんじゃないかな~と思ってたけどそんなことはなかった。
煙草=征服者の証を口にしてこんなもんかと落胆して、ザクセンに飼い主と飼い犬の立場が逆転したことを誇示して最後は心中する展開はドロドロした闇だった。

不老不死の怖さよりも生きられることへの喜びの方が勝っていたユネが家族を失い、孤独になり、不老不死ゆえに気味悪がられて拒絶され、それでも生き続けていたらある日聖人になってくれと言われた。
ユネに手を差し伸べた人もいたかもしれないけど、あの上界にみすぼらしいホームレスがいて、それをエリートな上界人は助けもせずに眺めていた。地上から逃げて来た当初は他人を思いやる余裕がないとしても、社会が安定してもずっと放置で、それで数十年か100年か経っていきなり貴方は希望です、聖人になって下さいは勝手がよすぎる。
でもユネはアルセンクライムの言葉を拠り所に要請を受ける。それで神格化されて、名実共に聖人となった。
下界GOODはユネを化け物扱いしながら都合良く祭り上げた身勝手な上界人達と、ユネが自分達に不都合な存在となったら蹴落としたウォーナー達=現在の上界上層部=子孫が先祖と同じことをやっててループループ。



◇フィン
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直前に見たユネルートであまりにあれだったのもあり、フィンには救済が必要だよ…救いがないと…という気持ちになっていたのでハッピーエンドがあってよかったです。
ただ、HOUNDSにならなくてもダークサイドな空気を漂わせるのは変わらないんだなと思いました。思った以上にキルス以外には無愛想で、闇落ちせずとも世界にキルスさえいればいい的な思考かつドロドロした性格の男だった。ぶっちゃけめんどくさそう。
どこでも生きていけるタイプなのは意外だった。
PC版未プレイでも追加要素だなと分かるルートで、もう少しボリュームがあったらなと思いました。
BADはキルスよなぜ戻った。
GOOD後の小話の方はウルリクにしたことと同じことをフィンにもするエルトクリード。フィンがエルトクリードを嫌い(苦手)な理由が見たまんま というか その通りすぎて、でも最後は今後少しは仲よくなれるんじゃないかなという雰囲気でよかった。エルトクリードいい奴だよ!
そういえば今回もヴァーレンティンの財力最強じゃねと思いました。さすが救恤の人。

ザクセンの対処法が上手いフィンと、スィアに似た瞳が嫌いだとあれだけ嫌悪していたくせに、いざキルスが部下になったらちっせぇ嫌がらせしかしないザクセンに笑いました。フィンにやったことをキルスにもする気なんだと思ってた。フィンは即躾けたけどスィアを思い起こさせるキルスは躾けないって分かりやすすぎる。
ザクセンがHOUNDSリーダーとしてどれだけの非道な行いをしてきたか、それは分かってるし保護地区の女性を襲うとか本当にクソ外道だけどキルスとその後にやってきた新人へのいびりも合わせて小さい。器が小さすぎる。ザクセンはスィアのもとで副官やってた頃が本人にとっても周りにとっても一番幸せだったと思います。



◇グランドエンド
大団円。何気に出世するフィン。
ユネ様の演説がそのままスタッフロールという作りが凄くよかった。
初っ端に犯人を阻止出来たのがスカッとしました。
オールキャラで共闘&黒幕連中を一網打尽に出来る爽快感もある。ザクセングリッサードを連行してきた場面は色んな意味でシュールだった。ザクセンはユネルートまでは歪みまくった悪な印象だったけど、フィンルートで生々しい意味で胸糞悪い存在になった。

そういえば、たぶんユネルートだと思うけど、ユネに協力するか自己紹介するかなんかとにかく渋るウルリクに対して、エルトクリードが言った「そうやって恨むことでしかアイデンティティを保てないなんて、大変ですね」という強烈な一言にテンションが上がりました。
うおーーそれ言うか。
ウルリクの返事も不気味なほど普段通りで、エルトクリードもウルリクも険悪になるわけでもなく態度が自然すぎて、そのことが純粋に友好的な感情だけとはいかない一線を感じました。